ASIAN KUNG-FU GENERATION 人物コラム
アジカン後藤正文の思想とは
音楽と社会発信のあいだで
ボーカル&ギターとして楽曲を生み出す一方、新聞『THE FUTURE TIMES』の発行や環境問題への発信など、音楽活動の枠を超えた言動でも注目される後藤正文さん。その背景にある考え方を、公開されている発言や活動から整理しました。
関心の原点は中学時代の科学の本
後藤正文さんが社会や環境の問題に関心を持つようになった原点は、中学生時代にさかのぼるそうです。科学の本を読んでいた際にアスベストやダイオキシン、ゴルフ場の農薬問題などが取り上げられているのを目にしたことが、環境問題への意識の源泉になったと本人が振り返っています。もともと社会的なテーマへの関心はあったものの、当時は「自分がやりたいのは音楽」という思いが強く、ミュージシャンが積極的に社会に向けて発信することへの迷いもあったといいます。
東日本大震災という転機と『THE FUTURE TIMES』
その考え方が大きく変わる転機となったのが、2011年の東日本大震災でした。震災発生直後はソロでチャリティ活動をおこない、ライブ会場で募った基金をもとに物資を購入して被災地へ送る取り組みを実施。そして同年7月、「新しい時代のこと、これからの社会のことを考える新聞」をコンセプトにした『THE FUTURE TIMES』を自費で創刊します。
震災をきっかけに、それまで関心があっても発信をためらっていた自分の「臆病さ」に気づかされたと後藤さんは語っています。以来、東北各地や次世代エネルギーの現場に自ら足を運び、取材・執筆を重ねながら紙面を作り続けてきました。農業をテーマにした号では人類学者と、憲法をテーマにした号では憲法学者と対談するなど、音楽家の枠を超えた幅広いジャンルの識者との対話も特徴です。
NO NUKESへの参加と脱原発への思い
震災後の社会的な活動として広く知られているのが、坂本龍一さんの呼びかけで始まった脱原発のための音楽イベント「NO NUKES」への参加です。後藤さんは2012年の初回から出演し、音楽を通じて原発問題への関心を呼びかけてきました。2021年からは坂本龍一さんや哲学研究者の永井玲衣さんらとともにプロジェクト「D2021」を始動し、ドキュメンタリーやトークイベントなど多様な形で「これまでとこれからの社会のあり方」を問い続けています。
著書に見る後藤正文の言葉
後藤さんはエッセイストとしても活動しており、『何度でもオールライトと歌え』『凍った脳みそ』など複数の著書を発表しています。歴史学者・藤原辰史さんとの共著『青い星、此処で僕らは何をしようか』では、環境や社会のあり方について対話を重ねた内容がまとめられました。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を題材にした絵本『銀河鉄道の星』を手がけるなど、創作活動の幅広さもうかがえます。
音楽活動と社会的な発信の関係については、「ポップ・ミュージックの中でもやれることはたくさんある」と述べつつも、それをすべての作品に直接反映させるかどうかは作品ごとに異なるという姿勢をとっています。社会的なメッセージを声高に主張するというより、取材や対話を重ねながら考え続ける過程そのものを大切にしているように見えます。
「運がよかっただけ」という感覚
後藤さんと長く活動を共にしてきた関係者の評によれば、成功した人間の多くが「自分は与えられた人間だ」と考えがちな中で、後藤さんは一貫して「自分は運がよかっただけ」と捉えているといいます。自分が得たものをどう社会に還元するか、という視点を持ち続けている人物だと評されており、岩手県のKESEN ROCK FES.への参加など、地域と音楽をつなぐ活動にも継続的に関わっています。
よくある質問
『THE FUTURE TIMES』とはどんな新聞ですか?
後藤正文さんが編集長を務める、新しい時代とこれからの社会を考えるための新聞です。2011年7月に創刊され、全国で無料配布されています。
後藤正文さんはどんな著書を出していますか?
『何度でもオールライトと歌え』『凍った脳みそ』などのエッセイのほか、藤原辰史さんとの共著『青い星、此処で僕らは何をしようか』、宮沢賢治原作の絵本『銀河鉄道の星』などがあります。
後藤正文さんはどのような社会活動に参加していますか?
2012年から脱原発のための音楽イベント「NO NUKES」に参加しているほか、2021年からは坂本龍一さんらとプロジェクト「D2021」を展開。岩手県のKESEN ROCK FES.など、地域に根ざした音楽イベントにも継続的に関わっています。
citraの一言
歌詞はゴッチが担当していますが、よく聴いてみると社会問題を表しているように感じる曲もあります。歌に乗せるとポップに響くので、普段あまり意識していなくても、気づけば若い世代が社会について考えるきっかけになっているのではないでしょうか。自分の音楽活動を通して、押しつけがましくなく世の中にメッセージを送り続けているのは、本当にすごいことだなと思います。これからも歌と活動の両方から、何かを伝え続けてほしいです。
まとめ
中学時代の環境問題への関心から、東日本大震災を経て『THE FUTURE TIMES』の創刊、NO NUKESへの参加、そして著書での発信へと続いてきた後藤正文さんの歩み。音楽家としての活動と並行しながら、社会との関わり方を模索し続けるその姿勢は、アジカンというバンドの表現にも少なからず影響を与えているようです。アジカンについてさらに知りたい方は、メンバープロフィールガイドやツアー情報まとめもあわせてチェックしてみてください。

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